ネムリネズミは夢を見る

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読みきり小説

風変わりな彼女





森嶋宙は極めて普通ではない少女だった。
学校では常に周りから浮いていて、友達はリディただ一人。
何より彼女が普通ではないのは、そのリディが人間ではないということだ。
もしかすると存在さえしないのかもしれないリディ、は英語で言うところのfairy、つまり妖精だった。
教室でも彼女はリディに話しかけるし、放課後には二人でお茶をしたりもしていた。
そんな宙はオカルト部の部長であることも含め「魔女」とも呼ばれていたが、本人はその呼び名を気に入っていた。

「リディ、今日は『東洋呪術論』を読もうか」
教室の隅で、宙は鞄から一冊の本を取り出す。
随分と古びたその本は、宙が半年かけて捜し求めたものだった。
「呪術において最も重要なものはなにかわかるかい?」
本を開きながら言う。
「そうだね。想いだよ。魔法にしても呪いしにしても信じる心と成し遂げるだけの気力が必要だ」
宙は微かに笑う。
些細な変化ではあるが、それが宙の常であった。

「部長、何読んでるんだ?」
宙に声を掛ける者がいた。月見里武。隣の席の少年だ。
だけども宙は気づかない不利をする。
実のところ宙は彼が苦手なのだった。
「リディ、日本の術式は複雑に見えるかい?だけども実際は凄く簡潔で単純なんだ」
魔術に関わるときが宙にとって一番幸せな時間である事がすぐに分かるほど、宙の目は輝き、表情は生き生きとしていた。
「部長、随分楽しそうだな。俺にも教えてくれよ」
半ば無理やり、月見里は宙の持っていた本を奪い取る。
「あっ…返せ」
「なんだ?よくこんなの読めるな…古典の資料にありそうだ…」
「ふん、お前のような下等な脳では理解できまい。とっとと返せ。それとそこをどけ。リディが迷惑している」
「リディ?」
月見里が見渡すが、「リディ」の姿は見えない。
「返せ」
宙は月見里から本を取り戻すと再び席に着く。
「ごめんよ、どこまで話してたっけ…」
また宙は何も無い方向を見ながら話はじめる。
月見里はどうしていいかと言う表情をして、それから諦めように離れていく。
「リディ、今度はこれを試してみようか」

宙には周りのざわめきも嘲りも聞えない。
ただ、リディと二人きりの世界に居る。
それが宙の日常だった。
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