ネムリネズミは夢を見る

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我が名誉にかけて!

我が名誉にかけて! 3





ようやく家に着いたが、そのまま下りるのが不安だったので、道場の屋根に下りた。

「稽古間に合うかな?」

 巳緒の家は、示現流剣術の道場だった。幼い頃から鍛えられた巳緒は、大人にも負けない実力があり、自分でもそれなりに自信を持っていた。

 「逃げ帰ったなんて言ったらおじいちゃんに蔵に閉じ込められる・・・」

そっと屋根を下りて、稽古場に入る。

 「・・・もうお兄ちゃん達いるし・・・・・・」

 「巳緒、遅いぞ。どこに行ってたんだ?」

 「かる~いランニングのつもりがかなりハードになっちゃって・・・」

 一応間違ってはいない。不本意ながら、変質者に追われたのだから。

 「なんだそりゃ?お前も早くはじめろ」

 「はい」



 「エイっ!」



立木に向かって切り込む。

朝は軽く百回ほど。それが巳緒の日課だ。



「エイっ!エイっ!」

「こらっ!力を抜くな!」

「はい。エイっ!」



巳緒が渾身の力を込めて切り込んだ途端だった。

「うわっ・・・」

木が折れた。

「・・・またやっちゃった・・・・・・」

「・・・巳緒、お前が稽古すると庭の木が減るような気がするのは気のせいか?」

「だから加減したのに・・・」

今月に入って十本目。倒れた木は今度は何に使われるのだろうか?ぼんやりと考えると奥から声がした。

「隆之!巳緒!ご飯できたよ」

「はい」

今日はまだ78回目だったが、木が折れてしまったので、諦める事にした。















「行ってきます」

「巳緒、忘れ物はない?」

「ないよ。あ、綾人お兄ちゃん、朝ごはん美味しかったよ」

「ありがとう。巳緒のお弁当はウインナータコさんにしといたから」

「ありがとう。行ってきます」

兄に見送られ、家を出る。

「ほらほら、隆之お兄ちゃん、遅刻するよ?」

「げっ・・・巳緒が木を倒すからいけないんだ」

「そんな事ないって。今日、一時間目テストだよ?」

「そりゃ遅刻できねーな」

遅刻したら七割。満点とっても七十点しか評価されないと言うのは学生にとってかなりの痛手だ。

「お兄ちゃん自信ある?」

「ああ、零点の」

「ちゃんと勉強しないからだよ~」

「いや、俺が取れない分巳緒が取るからいいだろ?」

「・・・留年するよ?」

彼らの祖父の話によると、一卵性の双子らしいが、この二人には外見も、性格も全くといっていいほど共通点がなかった。

「スポーツで何とかならないか?」

「無理じゃない?だって、全国出場権は私が取ったし」

「・・・神様って居ないんだな・・・なんで双子なのにこんなに差があるんだ?」

「それはお兄ちゃんが努力しないから!」

才能に差はあれど、二人はとにかく仲がいい。高二にもなって二人で行動する事が多いのはやや問題があると誰もが指摘していた。

「ねぇ、別の道にしない?」

「なんでだ?遅刻するぞ?」

「ここ、さっき変な人いたから・・・」

「大丈夫だって、兄ちゃんがついてる」

そうは言っても初対面の人にいきなり探してたなんていわれたら気持ち悪い。だが、隆之は聞く耳を持たなかった。

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