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我が名誉にかけて!

我が名誉にかけて! 11





気がついたとき、巳緒は巨大な寝台に横たわってた。




「巳緒様」

声がする。
凛とした女性の声。
何処かで聞いた事がある声だな。などと巳緒はぼんやりと考えていた。

「巳緒様」
もう一度声がした。
「…アレクサンドラ?」
「はい。巳緒様には即位式についてのご説明をしなくてはいけません」
即位式?
一体それはなんなんだろう?
ただ、少し前に父と名乗った人が真っ青な炎に包まれたことだけは覚えている。
「何をするの?」
どうでもいい。ただ、早く時間が過ぎてくれないか。
ただそれだけを願った。

「即位の儀と共に、血分けを行います」
「血分け?」
他の大半を聞き流していた巳緒はその言葉に意識を引き戻された。
「ええ、そうです。本来ならば血分けは即位の儀が終わるまでは行われないものなのですが、巳緒様の場合は少し特殊でして…」
「特殊?」
「はい。私とシリルが既に血分けされていますので」
アレクサンドラは微かに微笑む。
その笑顔に少しだけ安堵し、巳緒は再び訊ねる。
「血分けって?」
「言葉通り、巳緒様が御自分の血液を家臣に分け与えることです。そうは言ってもほんの数滴でよいのですが…ただ、吸血族だけは少々特殊でして……」
吸血族、確か神谷が自分のことをそう言っていたなとぼんやりと考えながら、アレクサンドラを見る。
「吸血族は血分けされるとその王の血のみを必要とするようになりますので…その…定期的に血を分け与えなくてはいけないのです」
「つまり、血がご飯ってこと?」
「ええ…」
言い辛そうに言う彼女を、巳緒は不思議に思って見つめる。
「アレクサンドラ、血分けのあと、その人はどうなるの?」
「血分けされた王に生涯の忠誠を誓い、ただ王にのみ従います。吸血族にはあまり得になることはありませんが、大半の種族は寿命が大幅に伸びます。血分けされることにより年を取らなくなるので、それだけ寿命が延びるということです。つまり、不老不死になります。これは王が生きている限り有効となっています」
「不老不死…私の血が?」
「ええ、龍族の。巳緒様は『風龍』です」

『風龍』

その言葉が響いた。
「お父さんは『火龍』だったんでしょう?」
「ええ、それゆえ、少々戦闘を好む気質がございました」
「私は?」
なんとなく。本当についでにと言う軽い気持ちで訊ねたが、アレクサンドラは少し困ったような表情をする。
「『風龍』は、二面性があります。そよ風となるか暴風となるかは巳緒様次第です。ですが、他のどの龍よりも自由であることだけは確かです」
彼女がそう言った瞬間、無風だったはずのその部屋で、巳緒の髪がふわりと揺れる。
「自由……何にも束縛されない風…」

自分の中で何かが呼吸を始めた。

巳緒はそう感じた。





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